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用途変更とは?【店舗を構える為に】

2020年7月8日

こんにちは。

 

これからお店や事業を始める方は最初から新築ではなく建築済みの空き店舗で始める方が多いと思います。

 

しかし始める事業と建物によっては用途変更という確認申請が必要になり、それを行わないと建築基準法違反になってしまうのをご存じでしょうか?

用途変更を行う際も場合によっては建物を大規模改修しなければいけなくなり、かなりの費用が掛かる事があります。

今回はみなさん見落としがちな用途変更について詳しく説明していこうと思います。

 

用途変更の確認申請とは

簡単に説明すると「建物の用途を別の用途に変更する事」です。

 

 

建物には新築時にその建物の使い道(用途)を細かく定めています。

用途によって建物の必要設備が変わってくるのです。

 

建物の用途が変わる際は、建築主事または民間の検査機関に用途変更の申請が必要です。

例えば

  • 住居から飲食店
  • 飲食店から児童福祉施設
  • 事務所から診療所

このような場合は用途変更となります。

 

 

用途変更が必要な建物

用途変更の確認申請が必要な建物は以下の二つに該当するものです。

  1. 既存の建物を「特殊建築物」へと変更する場合
  2. 用途を変える面積が200m²を超える場合(2019年より100㎡から改正されました)

 

特殊建築物とは

多数の人が集うところや、衛生上・防火上特に規制すべき建築物 など

特殊建築物

  1. 劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂、集会場
  2. 病院、診療所、ホテル、旅館、下宿、共同住宅、寄宿舎など
  3. 学校、体育館、博物館、図書館、ボーリング場、スケート場など
  4. 百貨店、マーケット、展示場、ダンスホール、キャバレー、料理店、飲食店、遊技場、公衆浴場など
  5. 倉庫
  6. 自動車車庫、自動車修理工場、映画スタジオ

その他これらに類するもので政令で定めるもの

 

 

なぜ用途変更が必要なの?

その建物の用途によって、建築基準法、消防法で定める設備が違うからです。

例えば事務所として使う場合と、学校として使う場合では消火設備、避難の考え方、換気など安全に使うための基準が大きく違います。

したがって建物の用途を変える際は建築基準法にのっとり用途変更の確認申請をし、必要な設備を整える必要があります。

 

用途変更しないとどうなる?

用途変更の必要があるにもかかわらず確認申請をしなかった場合、建築基準法98条によって建築所有者に対し、最大で懲役3年以下または300万以下の罰金(建物所有者が法人の場合は1億円以下の罰金)が科せられる定めがあります。

 

また、安全基準を満たしていないと万が一の際に大事故になったり、利用者の身の危険に関わってきます。

 

 

類似用途の場合は確認申請が必要ない

用途変更の確認申請を行う必要がない場合もます。

 

  • 用途に該当する面積が200㎡以下の場合
  • 変更する用途が類似用途の場合

 

変更後の用途が似たようなものであれば類似用途として確認申請を行う必要がありません。

類似の用途とは下記の11種類に分かれています。

類似用途

  1. 劇場、映画館、演芸場
  2. 公会堂、集会場
  3. 診療所(※)、児童福祉施設等
  4. ホテル、旅館
  5. 下宿、寄宿舎
  6. 博物館、美術館、図書館
  7. 体育館、ボーリング場、スケート場、水泳場、スキー場、ゴルフ習場、バッティング練習場
  8. 百貨店、マーケットその他の物品販売業を営む店舗
  9. キャバレー、カフェー、ナイトクラブ、バー
  10. 待合、料理店
  11. 映画スタジオ、テレビスタジオ

※患者の収容施設があるものに限る。

 

例えば図書館を博物館にする場合は類似用途として確認申請の必要がありません。

 

注意ポイント

用途変更確認申請の必要が無かったとしても用途による建築基準法が定める設備を満たしていないといけません。

一度建築士に確認をしてもらいましょう

 

 

用途変更の申請方法

用途変更の確認申請は建築士でなければできません。

建築士がいる設計事務所や工務店に依頼することになります。

 

 

かかる費用は?

これは一概にはいくらとはいえません。

なぜなら建物の規模、変わる用途に必要な設備によって改修金額が変わるからです。

 

その他、確認申請をする際に検査機関に支払う申請手数料もあります。

申請手数料は面積によって変わります。

東京都の例

200㎡~500㎡ 19,000円
500㎡~1,000㎡ 35,000円
1,000㎡~2,000㎡ 49,000円
2,000㎡~10,000㎡ 146,000円
10,000㎡~50,000㎡ 249,000円
50,000㎡~ 474,000円

こちらも各自治体、検査機関によって変わります。

 

全体でかかる費用としては

確認申請手数料+改修費用+設計諸経費となります。

 

 

まとめ

新しい事業を始めようとする場合は用途変更が必要だと思っておきましょう。

 

私の知る実際にあった例として、

私の会社にある事業者さんからテナントの改装の依頼が来ました。

話を伺うと、その方は用途変更の事を知らずに既にテナントを契約してしまっていました。

用途変更が必要な旨を伝え、最終的には大規模改修が必要になり当初考えていた予算を大幅に超えてしまったうえ、申請期間もかかりオープン予定日を大幅に変更しなければいけなくなりました。

 

建物の安全面を確保するため、建築基準法を守るためにも新しく事業を始める際はまず設計事務所や工務店に確認をしてもらいましょう。

 

 

そんなところで!

 

またねっ!

  • この記事を書いた人

ハルトゥー

▶アウトドア好きな3児の父親です。 ▶設計事務所勤務、設計、施工管理、インテリアコーディネーター ▶主に建てる業者側、住む側の両目線から家づくりの事、メンテナンス、失敗談、過ごし方などを発信しています。 ▶自宅は39坪の家、自社設計、自社施工の低予算で建てました。 ▶相棒のカメラはSONYα6000です。 ▶宇宙の事について知るのが好きなコスモ男子です。

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